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技<植本誠一郎>


下地をつくる−3
木材につくる 木材の種類

○天然木板

・木材種類
絵画の支持体として洋の東西を問わず、古来、木材が用いられてきました。
日本における板の代表的なものは、杉や檜と考えられます。神社の絵馬、能舞台の鏡板における松の絵などがそのような木材の板でしょう。勿論、これら以外に門扉としての木材板に絵画があります。しかし、残念なことにこれらの木材の種類が知られている分けではありません。東に対し西の事情はどうでしょうか。ゲッテンスとスタウトはその著「絵画材料事典」の中で、初期ルネッサンス以降の欧州における木材の種類をまとめています。
その情報を木材ごとの%に計算してみると次のようになります。

サンプル数
ブナ



唐松
菩提樹
マホガニー

オリ−ブ

ポプラ
胡桃

1110件
1.0
0.4
2.6
0.5
0.3
8.7
0.2
60.6
0.4
13.3
10.9
1.1

 
(単位:%)

 

ここから、欧州における代表的なものは、樫、松、ポプラ、そして辛うじて菩提樹(シナノ木)と云えましょう。
それでは、名著「テンペラ画の実技」(ダニエル・バーニー・トンプソン著 佐藤一郎監訳)ではどうでしょう。そこでは、チェンニーノ・チェンニーニ(14世紀イタリア人画家)の助言をもとに軟木を選びましょうと云っています。樺、楓、樫のような硬木は使えるが、重い、硬い、高い、下地の接着性がよろしくないなどと述べて薦めてはいません。松、蝦夷松、樅は柔らかい樹脂を含むので使えないといっています。トンプソン教授は、アメリカシナノ木、百合ノ木、ポプラ、マホガニー(月桂樹)などが良いといっています。
ここで我々は、歴史的事実と現代的解釈に差のあることが分かります。その理由は、流通の発達ではないかと思います。流通の未発達の時代は、そこで入手できるものを最大限利用したでしょうから、上記分析のような結果を示すのでしょう。流通が発達し、物の入手がさほど難しくない現代は不向きなものを排除し易いのでしょう。

・加工 
<柾目と板目>
天然木材の加工で最も基本になるものは、一木からの切り出しであります。図ー1に示した通り木材の切り出しには、二つの方法があります。
樹木の横断面の切線方向に切り出すと「板目板」が得られ、放射状に切り出すと「柾目板」が得られます。一般的に、板目板は切線方向に縮みますから、図のような反りを生じることになり絵画には使い難いものになります。通常は反りの少ない柾目板を使います。


図-1 木材の加工切断方法

<接続>
柾目板は材木を放射状に切り出す方法ですから、大きな材木であっても面積の小さなものしか得られません。大きな作品のためには複数の板を接続することになります。
接続用の接着剤は、チェンニーニによれば「石灰とチーズから作られる」ものを用いるのが最高なのです。現代の優れた合成樹脂接着剤は、時間経過とともに脆くなる傾向のものもあり、今だ絵画の世界では信用を得ていないことは残念なことであります。

<布貼り>
接続した板に直接目止めや下地を施すこともありますが、耐久性を考慮すれば、布を接着剤(その多くは膠)で貼ることになります。布のお陰で接合面が分かり難くなり、下地がしっかりと接着します。

<可動格子>
天然木から切り出した一枚板の最大の欠点は、乾燥による「板の反り」でしょう。
これを防ぐには、可動格子(クレードル)を用います。板裏面の木目に沿って狂いの無いある厚みを持った桟を膠で接着します。桟には一定の間隔でほぞ穴があり、ここに横桟が接着剤なしで入れられ反りを防ぐのです。

 
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(2007/1/31 update)
 
         
 
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